アトピーやアレルギー症状を抑えるセサミン
アトピー性皮膚炎やアレルギー性湿疹など、アレルギー症状で悩む人は年々増加する傾向にあります。
近年、アトピー性皮膚炎などアレルギー症状を緩和する効果があると期待されているのが、ゴマに含まれる健康成分「セサミン」です。
この記事では、セサミンがアトピー性皮膚炎やアレルギー症状を緩和するメカニズムや効果的な摂り方、注意点などを詳しく解説します。
アトピー性皮膚炎などアレルギー症状が起こる原因
アトピー性皮膚炎などアレルギー性疾患の原因は、完全には解明されていませんが、大気中の有害物質や粉塵、ハウスダスト(ほこりやダニ)、カビ、食べ物に含まれるアレルゲンなどが考えられます。
その中でも、近年、特に増加している原因が、食べ物に含まれるアレルゲンです。アレルゲンとはアレルギーの原因となる物質のことです。
食べ物に含まれるアレルゲンの中でも「アラキドン酸」によるアレルギーが増加しています。アラキドン酸は、n-6系という不飽和脂肪酸の一つで、肉類やレバー、鶏卵などに多く含まれおり、細胞膜を形成したり、神経細胞を正常に機能させたりするために不可欠な必須脂肪酸です。
本来、アラキドン酸は体に必要なものですが、過剰摂取によりアトピー性皮膚炎やアレルギー性湿疹などアレルギー症状の原因となると指摘されています。
近年、私たちの食生活が欧米化、飽食化する影響もあり、肉類を摂りすぎる傾向があります。肉類の摂りすぎがアラキドン酸の過剰摂取につながり、これがアレルギー症状を引き起こす大きな要因となっていると考えられているのです。
植物油にも要注意!アレルギーの原因となるもう一つの要因
アラキドン酸は、肉類に多く含まれるだけでなく、サラダ油やコーン油、綿実油など植物油に多く含まれるリノール酸が体内で変化することでも作られます。
リノール酸は、かつては健康に良い油と考えられていましたが、近年、過剰に摂取するとアレルギー症状を悪化させる要因になると指摘されており、現在では見解が変わっています。
そのため、現在では、サラダ油やコーン油、綿実油などを過剰に摂取することにより、アラキドン酸を多く摂取することが、アトピー性皮膚炎などアレルギー症状を引き起こす原因の一つとして考えられているのです。
セサミンがアレルギー症状を緩和するメカニズム
セサミンには、体内で脂肪酸(脂肪)の合成を阻害する働きがあることなどから、アレルギーの原因となるリノール酸がアラキドン酸に合成されることを阻害すると考えられます。
セサミンを摂取することで、体内でのアラキドン酸の過剰な生成を抑えることができ、アレルギー症状の予防や緩和の効果が期待できるのです。
また、ひとたびアレルギー症状が起こると、細胞膜にあるアラキドン酸が酸化して、アレルギー症状を悪化させるプロスタグランジンやロイコトリエンという炎症を起こす物質が次々と作られます。これを「アラキドン酸カスケード」といいます。
アラキドン酸カスケードは、アレルギー症状が急激に悪化する大きな原因となります。
セサミンには、強い抗酸化作用があるため、細胞膜が酸化されて生じるアラキドン酸の生成を抑制し、アラキドン酸カスケードを防いでいるのではないかと考えられているのです。
セサミンとビタミンEの組み合わせで、アレルギー症状の緩和に相乗効果!
セサミンとビタミンEはとても相性の良い組み合わせで、互いに作用を高めるさまざまな相乗効果があります。アレルギー症状の緩和においても、この組み合わせが、より高い効果を発揮します。
ラットによる実験では、セサミンとα-トコフェロール(ビタミンE)を組み合わせることによって、アラキドン酸が代謝されてできるロイコトリエンというアレルギー物質を抑制する効果が高くなったという結果が得られています。
この作用はセサミンとビタミンEの組み合わせでしか得られず、他のさまざまなビタミン類との組み合わせでは、起こらないようです。
ですから、アレルギー症状の緩和を期待するのであれば、セサミンと一緒にビタミンEを摂ったほうが、より高い効果が得られるといえます。
まさに、セサミンとビタミンEは相性が抜群で、アレルギー症状の緩和作用においても、ベストパートナーといえる組み合わせなのです。
アレルギー症状の緩和における、セサミンの摂り方の注意点
セサミンはゴマに含まれる成分の一つなので、食品としての「ゴマ」を食べることでアレルギー症状の緩和効果があると考えるのは“間違い”です。
ゴマに含まれる成分のおよそ半分は、脂質(油)です。ゴマの脂質には、リノール酸が多く含まれているため、セサミンを摂るメリットよりも、リノール酸を多く摂るデメリットのほうが大きくなる可能性が高いのです。つまり、逆効果になってしまうのです。
アレルギー症状の緩和を期待してセサミンを摂る場合は、セサミンの成分だけを抽出したサプリメントなどを利用することをお奨めします。
おわりに
アトピー性皮膚炎などアレルギー症状の原因は決して一つとは限らず、遺伝的な要素を含めさまざまな原因が考えられます。セサミンの摂取は、あくまでもその原因の一つを取り除く可能性があると考えられますが、食生活を見直すことなど、根本的な原因を解決することも必要です。